Karma
一ノ矢響介
☆☆☆
「ふぅ……」
男を縄で縛り上げ、目隠しをさせ、私は男の財布からお金を取り出す。
中身は一万円札が十枚。これで手に入るなら、安いものだ。
「メイちゃん…いけない子だなぁ、女子中学生が大人からかつあげするなんて」
男は興奮したようにはぁはぁと呼吸する。
今までの奴らなら、怒って怒鳴り声を上げるか、殺さないでと泣き叫ぶかのどっちかなんだけど。
「そんなにお金が欲しいの? もしかして、住む家も家族もないとか?」
男の一言に、ピクリと眉が上がる。