諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「理人さん。お忙しいのに、いつも素敵なお店に連れてきてくれてありがとうございます」

「別にお前のためじゃない。試してみてよかったら今度会食に利用できるからな」

「ここで会食ですか?」

 個室でもないし、雰囲気などを考えても仕事で用いる人はほとんどいないと思う。それに、会うたびにこうして店を予約してくれているのだから、今さらとぼけなくてもいいのに。

 思わず頬を緩める私を、理人さんが不満げに睨みつける。

「なんだ」

「今日も本当に幸せだなって噛み締めていただけです」

 私の勘違いかもしれない。それでも、約束を適当に済まそうと思えばできるのに、そうしない理人さんの誠実な人柄が堪らなく好きなのだ。
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