上司を甘やかす方法
「すっごい、遅くなっちゃったね。」
と、言いながらも楽しそうに
たこ焼きの準備を始める史花さん。
「たくさん時間はありますから。」
と、一緒に準備をしていると、
「何かさ、思い出したんだけど、
前、雨の日に仕事中すごい頭痛くて、
薬も効かなくて、耐えられなくなった時に、
でもみんなに気を遣わせたらダメだって
黙ってたんだけどね、あの時、
将稀くんだけ、声掛けてくれたんだよね。
体調悪いか聞かれたんだけど
その時態度に出てたかーって、
申し訳なかったのと、でも嬉しかったの。
それ、思い出しちゃった。」
と、笑う史花さんが、やっぱりすごく愛しい。
「そんなのありましたっけ?」
と、惚けてみたけれど、
きっと同じ日を思い出していたんだと、
嬉しくなった。
「さ!じゃあ食べよっか!」
と、史花さんがたこ焼き器に生地や具を入れる。
「どっちが上手が勝負ね!」
そう言って、竹串を渡された。
彼女ならこんな穏やかな日を
ずっと過ごしていけそうだなと思ったら
やっぱり愛おしくて、彼女に敵わないと思った。
そして、そんな彼女に思った。
彼女は気付いているのだろうか。
俺を独り占めするということは、
俺も彼女を独り占めできるということに。
fin.