嘘恋のち真実愛
「ああ、そうだ」

「はい?」


帰ろうとしていた征巳さんは、ピタッと動きを止めて振り返った。


「例の役、とてもよく出来ていたから褒美をあげるよ」

「褒美? えっ、でも……口止め料のようなものだったのでは?」

「普通にできていたなら何もあげないけど、出来がよかったからだ。あとで、連絡するね」

「はあ」


褒美が与えられる意味が理解できなく、気の抜けた返事をしてしまう。やっと離れていく征巳さんの後ろ姿に首を傾げながら、マンションに入った。

疲れた1日だった。

ゆっくりお風呂に入って、久しぶりに自分のベッドで寝よう。

疲れているのに……日常に戻ったというのに……夜、なかなか寝付けなかった。
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