嘘恋のち真実愛
私の寝顔で癒される? そんな癒し効果のある顔には思えない……。

寝起きの顔をまじまじと見られるのが恥ずかしく、布団で顔を隠した。動揺を悟られたくない。


「あれ? ゆりか? どうして隠れるの?」

「開けないで」


征巳さんの布団を持つ気配を感じて、ぎゅっと頭の上の布団を握りしめた。布団の上から笑い声が聞こえる。

笑っているのは、もちろん征巳さんだ。笑われるなんて、もっと恥ずかしい。ますます顔を出せなくなった。

彼はポンポンと布団を叩き、「ゆりか」と呼んだ。布団の中で「はい」と返事する私の声はくぐもって聞こえるだろう。


「俺が先に起きるから、あとからおいで」

「はい……」


征巳さんがベッドから降りるとき、ベッドが少し揺れた。バタンとドアの閉まる音が聞こえて、私はそーっと顔を出す。辺りを見回して、誰もいないことを確認してから、体を起こす。

それから、大きく息を吐いた。

「朝から、疲れる……」


着替えてから、昨日と同じようにラウンジで朝食をとり、今日も征巳さんの車に乗って出勤。
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