へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
顔を伏せてもダメか。
幸せそうな声に、私の耳はすぐさま反応してしまう。
「朝のHR始まっちゃう。そろそろクラスに戻らなきゃ。雅くん、またお昼休みにね」
「翠さん、またね」
弾むような二人の声。
最近のお昼休みは、雅くんと翠さんが二人で消えちゃうけど。
どこに行っているんだろう?
あれかな?
講堂にレジャーシートを敷いて、二人で仲良くお弁当を食べているとか?
想像すればするほど、胸が苦しくなる。
わかっているのに。
私なんかが雅くんに釣り合わないって。
それなのに思っちゃうんだ。
雅君、翠さんと仲良くしないで欲しい。
ドロドロした気持ちが、どうしても抑えられない私。
気づいたら私は、一番後ろの窓側の席に座る、雅くんの前に立っていた。