へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
「桃瀬さん、それならアミュレットの専属司会として……」
雅くんの声なんて耳入れず、私は自分の席に戻った。
あるものを手に取り、もう一度、雅くんのところへ。
「返すね」
「これって、俺があげた……」
「翠さんに使ってもらって。私にはもう必要ないから」
「……えっ?」
雅くんの机の上にピンク色のストップウォッチを置き、逃げ帰るように自分の席に座る。
ダメだ。
涙があふれてきちゃう。
なんとか涙を押し戻さなきゃ。
教室で泣きそうになっているなんて誰にもバレたくなくて、机に両手を乗せ顔をうずめた。
「明梨、どうした?」
聞こえてきたのは、麻帆ちゃんの声。
心の底から心配してくれているのがわかる。