お手本のようなクズ男に溺愛されて困ってます

Ⅲ

ラインが分からないので必殺朝チュンを繰り出します。
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漫画のような雀の声で目が覚めた。

｢ん…ぁ…？｣

声が掠れてる。体がだるい。なんか股間に何かがいる気がする。

そしてここどこ？

｢うー………あぁ…そうだわたし……｣

そうそうそういえば学校一のイケメンクズ男に処女貰ってもらったんだっけ。そんでラブホじゃなくて何故か彼の自宅(豪邸)で、シャワーを浴びる暇すら与えられずにペロリと頂かれた。

え？どんな感じだったかって？消されるかもしれないから言わないけど一言だけ言ってもいいなら、

｢あんなに気持ちいいものなの…？｣

｢気持ちよかった？｣

独り言を呟いた瞬間、この部屋の主である唯月がドアにもたれ掛かり声を掛けてきた。イケメンだから様になるなぁ…。

｢う、…はい、びっくりしました…初めては痛いって聞いてたし……｣

美千佳に興味本位で初体験の事を聞いた時、グロくて痛くてたまったもんじゃないと言われてそんなものなのか、と思っていた。

私の言葉にクスリと笑い、ベッドに歩み寄る。

｢とりあえずこの紙に名前書いてくれるかな｣

今後近寄るなとかそういう契約書かなと思い、紙を受け取るがなんか枠がピンクだ。

｢結婚届…？｣

可愛らしい装飾のされた結婚届を見つめ続けていると、唯月は私の横に座り、ツツ…と背を撫でた。

｢ひぅ…！？｣

｢ふふ、昨日は紫乃が途中で飛んじゃってあんまり出来なかったけどまだ敏感なんだねぇ｣

え、何この人。怖い、怖すぎる。

｢え、と…とりあえず服を……｣

｢服？そんなものあげちゃったら逃げるでしょ？だーめ｣

メッとおでこを小突かれ、その指が頬をなぞり、耳に触れ、顎を軽く持ち上げた。
そして顔が近い。これはキスする流れでは？

｢HAHAHA、ご冗談を｣

すっと目を逸らして身体ごと後ろへ下がろうとする。が。

｢逃げちゃダメだよ？逃げられると思ってるの？｣

空いていたもう片方の手が背中をホールドする。ひいぃ怖い！何この人！ほんと怖いんだけど！？

｢後腐れ無しですよね！？その方がお互い良いって…！！｣

昨日行為が始まる前に念押しで聞いたのだ。私は頭は悪い方ではない。覚えてるからな！

そんな私の抵抗虚しく。

｢んーそんなこと言ったかなぁ？｣

笑顔で易々と躱され、ちゅ、と啄むようにキスをされてしまう。
ちゅ、ちゅ、と何度もキスをされ、固く結んでいた唇を時折ぺろりと舐められて。

いかん！ガードが緩んでしまう！

｢んっ…んぅ……っや！？｣

ちゅっちゅとキスをされていたかと思えば、不意に終わり、次いで肩に痛みが走る。

噛まれた。結構ガッチリと。

｢ねぇ、結婚しよ？俺だけのお嫁さんになって？｣

噛まれた跡をぺろりと舐められ、キスされる。

時々目線がかち合うが、目の奥が真っ暗だ。ガチだ、この人。

美千佳、私処女だけでなく人生も貰われそうだよ。たすけて。