濃厚接触、したい
こっそり愚痴った山田くんはすっぱりと同僚に切り捨てられた。
私たちはもう課長の顔には慣れっこだけど、最近配属されてきた彼にはまだ、無理らしい。
早く慣れるといいね、山田くん。


普段どおりの毎日がこれからも続いていくはずだった。
がしかし、危機というものは音もなく忍び寄ってくるもので。
局地的に発生した、薬の効かない病気はあっという間に全世界に広がった。
感染を防ぐために出社も厳しくなり、我が社もテレワークがはじまった。


「至急確認したい要件あり、ビデオチャット希望だと……!?」

パソコンの画面の前で、手がブルブルと震える。
今日はテレビ会議の予定などなかったから、高校時代のジャージにちょんまげヘアーのうえふたつくくり。
しかもすっぴんなんですけどー!!
弁明しておくが、これが私にとって、一番集中できるスタイルなのだ。
仕方ない。

「えっ、は?
どうするよ?」

わたわた慌てているうちに、ピコピコと呼び出し音が鳴り出す。
もう逃げられない。
仕方なく椅子に座り、応答ボタンを押した。
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