インスピレーションを信じて

「あっ。そうだ。レーナ ちょっと来て。」

ダンボールを 運び終えると 務は言う。

「なあに?」

務の後を付いて 部屋を出て。

エレベーターを降りて 駐車場に行くと


「これ。レーナの車。」

「えっ!?」

務は 真っ赤なコンパクトカーを指す。


「こっちで生活するのに 車は 必需品だから。」

「でも。私 ペーパードライバーで。運転できないよ。」

「大丈夫。明日から 俺が 特訓してあげるから。」

「それに。いきなり こんな新車。」

「これは 親父から。」


「えっ。そんな。」

私は また驚いて 言葉に詰まる。

「大丈夫。親父には 身体で返さなくて いいからね。」

「ヤダ。務。何言ってるの!」

顔を赤くして 務を睨むと

「その分も 俺に 上乗せしてね。」

と務は 笑った。


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