最初で最後の恋。
お風呂から戻ると

ガタガタッと、何かにぶつかる音が聞こえた

何かと思ってリビングを覗くと涙目をした蓮が
走ってこっちに向かってくる

「はぁ、いなくなっちゃったかと思った」

本当に大切だったものを無くしたような表情で抱きしめてきた

怖い思いさせてしまったかしら

「ごめんなさい、お風呂に入ってたのよ」

と言うとほっとしたように肩を落とした

「もう寝ましょうか」

と、蓮を私の布団の中に招き入れる

すると彼は当然かのように抱きしめながら寝た

ヨーシヨシ大丈夫よ、とこどもをあやす様にさする

気持ちよさそうに寝る蓮につられ私も目を閉じた

ピピピ

と7時を知らせる音が鳴る
< 66 / 110 >

この作品をシェア

pagetop