闇の中の太陽

少しの希望

『遅くなってすいませーん』

勢いよく玄関のドアが開き、バタバタと女
の人と男の人が入ってきた。

『いやーすいませんねー仕事が長引いちゃ
って』

『ほんとすいません。もう話終わりまし
た?』

『いやまだよ。今、美蘭ちゃんの意見を聞
いていたの』

誰?頭の中で急いで思い出していたら

『あ、遅くなってごめんね。覚えてるか
な?昔、一回だけあったことあったんだけ
ど、覚えてないよね』

『……すいません』

『あーいいのよ。私はお母さんのいとこの
いとこだから…まぁ、はとこよ』

『うん、まぁそうだな』

横にいた男の人も頷いていた。

『じゃあ、気を取り直してもう一回聞くわね』

叔母が優しく聞いてくる

『はい』

『私達ね、ちょっと美蘭ちゃんのことを引
き取るのが難しいのよ。それで美蘭ちゃん
はどうしたい?』

『私は……施設に行きたいです…』

そう言った瞬間、親戚中の顔がぱあっと明
るくなった。

みんな喜びに満ちていた。気持ち悪いくらいにニコニコ笑っていた。

『そう!じゃあ、早速手続きの準備をする
わね!』

そう言った瞬間

『なんなの!!』

急に叔母の横にいた遅れてきた女の人が立
ち上った。

『なっ何よ、急に』

叔母が驚いた顔をしていた。

『何なの今の、美蘭ちゃんの意見を聞くと
か言ってるけど、ただの誘導尋問じゃな
い!今までこんな事グダグダ話してたの』

真っ赤な顔で叫んでいた。

『何言っているのよ!』
『そうよ!ふざけないでよ!』

さっき、私の事をどうするか話していた人
達が立ち上った。

段々空気が悪くなってきた。

なんなんだ。もうやめてほしい。

『ふざけてるのはどっちよ!』

『あっあの……もうやめてください…私は
それで良いので』

早く終わらせたくておずおずと意見を言う

『ほら、美蘭ちゃんだってそう言っている
じゃない』

勝ち誇った顔をしてる、叔母がいた。

いいんだ、これで。私が妥協すればみんな幸
せになる。

そう思って顔を伏せていると、前に誰かが立った。

『美蘭ちゃんは本っ当にそれでいいの?』

顔を上げると怒っていた女の人がいた。

『………別にいいです』
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