一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています


「当たり前だろう。ずっと触れたかった咲綾にようやく触れられると思うと緊張するよ。情けないな」
少し眉を下げた真翔さんに、私は笑みが零れた。
これだけ百戦錬磨だろう真翔さんが、私をこんなに大切に思ってくれる。
そのことが心を温かくする。
「それに無理はさせたくないのに、咲綾に触れたくて仕方がない」
そう言いながら私の髪に手を差し入れると、真翔さんは髪を撫でる。

「大丈夫です。真翔さんの好きにしてください」
私も真翔さんに触れたくて手を伸ばして頬に触れると、真翔さんは目を見開いた後、小さくため息をつく。

「これは咲綾が悪い。できるだけ優しくしようと思ったのに、煽ったのは咲綾だから」
その言葉と同時に初めてだろう、噛みつくようにキスをされる。
真翔さんのキスが全身に落とされる。さっきまでとは違う熱に私はもう何も考えられなかった。

4年前よりも、ずっと優しく、大切に甘やかされる。
初めて愛されるということを知った気がした。

「咲綾、愛してる」
意識が薄れる中、その言葉を聞いて私は安心して眠りについた。




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