愛は惜しみなく与う⑤


「だ、だれ?」


教室を覗くと、ロッカーの置いてある教室の後ろ側にしゃがみこむ女の子がいた



「ま、まさか、ゆ、ゆ、幽霊!?!?」


怖くはないけど!怖くはないけど!!
見えるのは別やろ!!!見えるのは怖いやろ!!

テンパるあたしと真逆の反応の泉。あたしの前にスッと出たと思ったら、『ゲッ』と泉らしからぬ声がした


げ?



「きゃあ!!!!泉様!!!お久しぶりです!!!」


ドンとあたしの前に立った泉に、何かの衝撃があったのか、あたしの鼻に泉の背中がぶつかる

いててて


「わるい!大丈夫か?」


振り返ってすぐあたしの鼻の心配をする泉。


いや、そんな事よりさ?


泉様ってのが気になるねんけど?
何事?


「勢い余って飛びついてしまいましたわ!!なのに、相変わらず華麗な手捌き!感動です!」


可愛らしい声がするから、泉の後ろから顔を出すと


泉は片手で、女の子の頭…おでこに手を当てて、突っ込んでくる女の子を止めている
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