愛は惜しみなく与う⑤
「詳しくは関係ない俺に教えてくれる奴は居なくて。ただボヤッと全体的に話されて、詳しいことは知らなかったけど。

下の奴らの言い方だと、妹はいい駒のように使われてる感じがした」


これが真実かはわからないし、もっと何か複雑なことがあるんだろうけど


事実を聞いて今すぐ志木さんと話したくなった。考えたことや、思ったこと。これは誰かに共有しないとしんどい


「俺が知ってるのはここまでだ。嬢ちゃんを欲しがるサトルに、嬢ちゃんを裏切ってサトルと一緒にいる死んだはずの妹、近々サトルが動こうとしてるってこと。

そして、お前達が巻き込まれる寸前だってこと」


そう言ってハザマさんは俺に写真を握らせて、ガッと肩を引き寄せた



「悪かった。お前の大事な子を傷つけた。お前の気持ちを無視して、勝手に俺はお前達を守った気でいた。本当に悪かった」


久しぶりのハザマさんのガッチリした抱擁は、男くさくてなんだか泣いてしまいそうで、謝るハザマさんの言葉や気持ちが、ストンと心に落ちた
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