愛は惜しみなく与う⑤
それは
母上の電話番号
手が震えた
この人が直接連絡がくるなんて、今までなかったから。
いつも鈴に用事ある時も、志木を通して、あたしに連絡が来ていた。
「もしもし」
『あ、鈴ちゃん?ごめんなさいね、忙しい時に。志木と連絡とってないかしら』
「え…最近は、とってないです」
『あらそう?おかしいわね。志木に頼みたいことがあったのに、連絡も繋がらなくて、全く見かけないのよね』
鼓動が速くなる
どくどくと音が聞こえるくらい
志木?どこいったん?
『まぁいいわ。鈴ちゃん、急で悪いんだけど、あなたのお誕生日会の準備とか打ち合わせのために、そろそろ帰ってきてくれないかしら』
「も、もうですか?」
『そうそう。やっぱり、主役が居なきゃ話は進まないのよ。都合つけれないかしら』
…この感じ、明日には帰らんとあかんって感じの圧がある
『どう?』
「……はい、わかりました。準備して戻りますね」
『そう!ありがとう!とっておきの会になるようにしてるから、楽しみにしていてね』
母上はとても嬉しそう