愛は惜しみなく与う⑤
気がつけば、夜になっていた

お腹もいっぱいや

いつのまに夜ご飯食べてたんやろ
唇の腫れも少しひいている


あたしは、数時間何をしてた???

寝てもないのにその間の記憶が一切ない。ずっと答えの出ないことを考えて、頭の中で無限ループしていた


考えたくない



怖くなってきた



部屋に戻り、また外から鍵が掛けられる



ここ数時間の出来事が、まるで夢でも見てたんかってくらい現実味がない


一人になってようやく



実感が湧いてきた



でもあたしの頭じゃこれ以上考えられへん。嫌な風に考えてしまうから



サトルの言葉
鈴がサトルと一緒にあたしを騙してたって…


最低やん。そんな事を一瞬でも信じてしまいそうになった。

あかんって

家族やもん…



でも


自信がない


だって…サトルが如月冬馬やと分かった今、鈴はサトルのことを前から知ってたことになる。


あたしが如月冬馬のことも、鈴の婚約者の顔も知らんかっただけで…


いや

やめよう

誰かを悪者にするのは嫌や。

サトルが悪い。この事実は確かやから
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