隣のアイツ
「よーし、今日も美味しいもの食べに行くぞー!」

圭太の腕をガシッと掴んで早歩きする私。


「おい、何掴んでんの」


「だって今からだけはカップルなんだから、それらしくしとかないと怪しまれるでしょ!」


「別に腕じゃなくていいだろ…」


呆れ口調だけど、嫌がってないのが伝わるからそのまま進む。


「さぁいくよ、ダーリン!」


「俺こんな強引なハニーに捕まってるわけ?」


「なにそれ!今だけは私が彼女ってことで我慢してよね!」


圭太のジョークに笑いが出る。


「捕まってるのは本当なんだよなぁ…俺だけは…」


ぼそっとそう言った言葉は私の耳には届かなかった。
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