2度目の人生で世界を救おうとする話。前編






「本気で俺と戦いたかったんでしょ?」


そして私はそれはもう不敵に笑った。
まさに悪者、悪役と言った感じで。


さあ、武はどうする?


武の次の動き次第ではすぐに火付きの拳を喰らわせてやろうとじっと武の動きに注目する。


「…お前とは確かに本気で戦ってみたい。けどそれは今じゃねぇ」


だが私に返ってきた言葉は私の予想しているものとは違った。


「俺たちの任務は他の1年の補助だ。妖を退治することじゃねぇ。…止めても止まらねぇならせめて1人にはさせねぇ」

「…」


大きなため息をつき、真剣な表情でこちらを見つめる武に私は驚きで固まる。それと同時に私の手でメラメラと燃えていた火もスーッと消えた。

つまり武は私たちの任務は裏を返せば妖を退治しないことだからそれを遂行するという体で私に付き合う、と。


「いいの?」

「止めても止まらねぇだろ」

「うん」

「ならついて行く。お前を1人にはしない。絶対に、だ」


戸惑いながらも武に聞けば呆れた表情を浮かべて武はそう私に答えた。


「昔からこうだと決めたら周りに何言われても変えない悪癖があるだろ、お前」

「…え、突然の悪口?」

「そうだ。そんな紅に付き合えるのなんて俺くらいだからな」


今度は意地の悪そうな表情で私を見下ろす武。


「それじゃあ行くか、紅」


そして武は私の腕を未だに掴んだまま歩き出した。


『ほら、言ったでしょ?紅。彼なら必ず協力してくれると』


と神様の満足げな声が聞こえる。

いや、その通りだけど完全に協力と言うよりは止められないから〝仕方なく〟ついて行く、てスタンスだよね。











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