2度目の人生で世界を救おうとする話。前編








*****



朱と武が各自の部屋に帰った後、私はいつものように部屋のお風呂に入り、今日は疲労もあり、特に何もすることなく布団へ入った。

そして私はすぐに意識を手放した。


「…」


どのくらい寝たのだろうか。
ふと部屋の中に人の気配を感じで意識が覚醒する。

次期当主として育てられた身ゆえ、こういった場面での人の気配には敏感だ。
いつ私を狙う刺客が現れるかわからないからと幼い頃からの受けた葉月家の教育の賜物である。


誰だがわからないがあまり悠長なことは言っていられない。
どんな状況かもわからない今、相手を刺激することは自殺行為にもなりうる。


今日は任務もあったんだぞ。
夜くらい休ませてくれ。


心の中で今の状況に悪態をつきながらも薄く目を開いてみる。
そこには見慣れた2人の男の姿があった。


「あれ?起こしちゃったかな?」


私の顔を覗き見る2人いる人物の内の1人である蒼が優しく私に微笑む。
薄目でだが、バチっと蒼と目が合った。
そしてそんな蒼の隣には黙ったまま私の髪に触れる琥珀がいた。


「…こんな時間にどうしたの」


私の部屋にいたのは蒼と琥珀のみ。
その事実に気づいた私は先程までの警戒を解き、今度は薄目ではなくしっかりと目を開いて蒼と琥珀に声をかけた。


「…紅の姿が見たくなってな。任務帰りについでに様子を見に来た」

「そうそう。久しぶりの任務だったでしょ?無茶してないかなぁ、て。起こすつもりはなかったんだ。起こしちゃってごめんね?」


琥珀が相変わらずの無表情で、蒼もこれまた相変わらずの胡散臭い笑顔でそれぞれが私を見つめる。










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