クローバー2~愛情~
4時半ごろになって、予報通り大降りの雨が降ってきた。2人とも、折り畳み傘をもってきていたのだが、散歩するには強すぎる雨だった。

「ちょっと早いけど、帰るか」

「そだね。クローバーに、早く着いちゃいそう?」

「電話かけとくか。6時半に変更くらいなら、対応できるだろ」

和希が、クローバーに電話をかけた。6時半に変更でき、電話を切る。

「坂上店長、今日はオフだって」

と和希。なんだ、坂上店長から、お祝いの言葉がもらえると思っていたから、ちょっと残念。

「雨だし、僕がクローバーに寄ってケーキ受け取ってくるよ。先にアパートに行ってて。合鍵、渡したよね?」

「分かった。そうする。今日のディナーは何ですか?シェフ」

「ビーフシチューだよ。昨日、ってか、日付変わってたか。美穂のことを思いながら、時間かけて煮込んだんだ」

「ありがとう。じゃあ、あっためとくね」

「ご飯もセットしてきたから」

「すごい、致せり尽くせりだね」

「美穂姫のためでしたら」

ちゅっ、と美穂の手の甲にキスをする和希。

「じゃ、戻ろ」

なんだかんだで、結局、横浜駅の近くまで来ていた。横浜駅から東横線で渋谷、渋谷から山手線で新宿、新宿から大江戸線で和希は新桜台で、美穂は練馬で降りた。

新桜台で和希が降りるときに、美穂が

「雨強いから、電車使った方がいいよ」

「だな。じゃあ、また、あとで」

「うん。バイバイ」

そして、美穂は練馬駅で降り、和希のアパートに向かった。201号室の前に、人影がある。

「誰?」

「和泉さん?」

と、か細い声が聞こえた。いつものきびきびした彼女とは全く違う、ずぶ濡れになって震えている坂上店長だった。
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