【完結】私に甘い眼鏡くん

「俺さ、思い出したんだけど、夏休みの自習の日あったじゃん?」
「うん」
「そのうちいつだったか忘れたけど、お前と奈月が二人でご飯行くって浮かれて帰った日」
「‥‥‥うん」


別に浮かれてはなかったと思うけど。地元の美味しそうなカフェを見つけてテンションが上がっていただけだ。


「その日、帰り間際の東雲に伊藤が話しかけてたんだよ。一緒に帰ろうって」
「まじで?」
「大マジ」


そんな前から気になっていたなんて。

でも、夕くん顔整ってるし、お堅い雰囲気が気にならないならモテそうだよね‥‥‥。


「断ってた。一人で帰る派だって。だから多分今回も大丈夫だから気にすんな」
「どういう意味?」
「東雲はお前にしか興味ねえよ」


本当だとしたら、とても嬉しい事実だった。

でもあくまで太一の憶測だし、でももしそうだったら、と思考回路がループする。


「とにかく! 修学旅行までには絶対仲直りしろよ。伊藤のことなんて気にすんな。まあもし話せなかったら、俺と奈月が何とかするから。な!」
「うん、ありがと。頑張る」


心優しい友達を持ったと思った。私は神様に心の底から感謝をした。




でも、本当になにも話せないまま、修学旅行当日を迎えてしまった。


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