短い永遠を、君と

「もし俺以外に大事な人が出来たら、絶対浮気なんてせずに俺と別れてね」



あれだけ真剣な顔で言っておいて、急に重い空気に耐えかねたのか、君は少し寂しそうな笑顔を見せた。



何がトリガーになったのだろうか。

急に私の話に上の空になったと思ったら、彼はぐるぐると頭の中でそのことばかり考えていたのだろう。


私が新しく入ったサークルの話をしたから?


または、夕日があんまりにも綺麗だからセンチメンタルな気持ちになったのかもしれない。



それとも、最後の日だから?



君と私は遠く離れて住んでいた。

遠距離恋愛というやつで、「最後の日」というのは私が明日帰るから、会えるのが最後、ということだ。


次会えるのは明確には決めていないけれど、大体一ヶ月後くらいだろう。


そんな要因がいろいろ重なったのかもしれない。



まだ寂しそうな笑顔を浮かべている君に、私はゆっくりと言葉を選んだ。

君の素敵なところを私も真似したいと思ったのだ。



あのね、と話し始めて、ああ君と言い方が似ているなと気付く。


どちらかの言い方がどちらかに移ったんだろうけど、元々どちらの言い方だったのかは、もう覚えていない。
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