砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
釣り合わない
朝出発した一行は、お昼前には宮殿に着いた。

「さあ、チナ。私の部屋に案内するよ。」

「うん。」

馬から降ろされ、私は宮殿の庭を通った。

「綺麗な庭ね。」

「ああ。奥には日本庭園もある。午後から案内しよう。」

「ありがとう。」

宮殿の正面玄関が近づく度に、私は緊張の渦に巻き込まれて行く。

「緊張してきたか?」

「うん。なんだか心臓が口から飛び出そう。」

「それは、大変な緊張だ。」

するとアムジャドは、私を横から抱きしめてくれた。

「大丈夫だよ。僕が側にいる。」

「うん……」

ようやく正面玄関に辿り着いて、扉がゆっくりと開いた。

「アムジャド皇太子のお戻りです。」

開いた扉の先には、ずらりと使用人の人が並んでいた。

「お待ちしておりました。」
< 181 / 311 >

この作品をシェア

pagetop