砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
女の戦い
お風呂の中に入ってきたジャミレトさんは、鬼のような形相をしていた。

「聞いたわよ。昨晩、アムジャド皇太子が私の部屋を抜け出して、チナの部屋に行ったって。」

私は息が止まった気がした。

後ろには、ジャミレトさんの女中が付いている。

恐らく、そのうちの誰かがジャミレトさんの耳に入れたのだろう。

「よくも、アムジャド皇太子をたぶらかしたわね。」

ジャミレトさんが、私に近づいてきて、お風呂に浮かんでいる私の髪を掴んだ。

「止めるんだ!」

アムジャドがジャミレトさんの手を止めた。

「僕が悪いんだ。チナには手を出さないでくれ。」

「アムジャド皇太子……そんなにチナの事を……」

苦々しい表情を浮かべながら、ジャミレトさんはお風呂から出て行った。
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