君の好きな人が私だったらいいのにな。
なんでこんなに鈍いんだろう、と嫌になることもあるけど

気持ちを隠したまま幼なじみって特権でずっと隣にいる私だってずるい奴だから

侑のことを責める権利は私にはない。


『じゃ、また来週な。』

「う、うん。…荷物、持ってくれてありがと。」

『いーって。じゃあな。』

「ま、待って。」

『ん?』

「………水着も、選んでくれてありがと。」


照れと緊張で震えそうになる声を

必死に落ち着かせて、私は侑にそう言った。
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