君の好きな人が私だったらいいのにな。
「これ、パンだけもらってく!」

「あんた今日お昼はー?」

「あー、入学式午前中で終わるから、羽瑠となんか食べに行く!」


私が言うと、羽瑠ちゃんと一緒なら安心ね、とお母さんは笑った。

東雲羽瑠【Haru Shinonome】、私の中学からの友達でお互いの家に行ったり来たりする仲だ。


「じゃ、行ってきまーす!」


家を飛び出して息がもつ程度の速度で住宅街を駆け抜ける。


「…今日もまた、一段と…。」


走っていると、4~5人の女の子の軍団と、その真ん中に1人悠々と歩く男の姿が見えた。
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