アテナ・イェーガー〜反抗、のちにキス〜
名前
冷たい声にロネとアテナはびくりと肩を震わせる。振り向けば、冷たい目をしたユミルがいた。豪華なドレスに身を包み、二人を睨み付けている。

「いつから気付いていたの?」

アテナが震える声で訊ねる。その目には恐怖があった。ロネはとっさにアテナの手を握る。アテナの手も震えていた。

「最初からかな。お前は嘘をつくのが下手だからな。武器としてそういう面では未完成だ」

未完成、その言葉にロネの中にまた怒りが生まれる。ロネはアテナの前に立った。

「アテナは未完成じゃない!!武器でもない!!勝手にアテナの人生を決めるな!!」

「お前は黙っていろ」

ユミルは鬱陶しそうに言う。その目に多くの者が怯んでしまうだろう。それでも、ロネは怒りを抑えることなどできなかった。

「ロネ……」

ギュッと手を握り返され、ロネは隣を見る。アテナがニコリと笑った。もうその体は震えていない。

「もう大丈夫。あとは私が話をする」
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