アテナ・イェーガー〜反抗、のちにキス〜
「ロネ」

うつむいたロネの耳に、ずっと聞きたかった声がした。顔をあげれば、鉄格子の向こうからアテナが今にも泣きそうな顔で微笑んでいる。

「アテナ!!」

ロネは鍵のかけられた扉まで走り、鉄格子の間から手を出す。そして、アテナの頬に優しく触れる。アテナに本当に会えているのだとロネは久しぶりに笑顔になれた。

「アテナ、どうしてここに?」

「食事を持ってきた。もうお昼だ」

いつもは食事はユミルが運んでくる。アテナが来たことにロネは驚いた。アテナは昼食のサンドイッチをロネに渡した後、何かを企んでいるような顔を見せる。

「あの人の前では従順なフリをしてる。あんたを逃すためにね」

「ユミルはどうして君を武器にしようとしているの?」

ロネはずっと疑問に思っていたことを訊く。世界を征服したいなら自分だけで行えばいいはずだ。幼い子どもに人の殺し方をずっと叩き込む理由がわからない。

ロネの疑問にアテナは苦しげな表情を一瞬見せる。しかし、その口はゆっくりと動いた。
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