にびいろのなかのひかり 鈍色の中の光

「今日は、もぉご飯食べましたか?
時間があったら、簡単に作るので
よかったら食べていってください」

女性はそう言ってくれた



「じゃあ、遠慮なく…」



「どぉぞ…」


オレは案内されてカウンター席に座った




「ちょっと待ってくださいね」


女性は手際よく料理を準備してくれた



「素敵なお店ですね
温もりがあって、安らげます」



「よかったです
定食屋さんやるのが夢だったんです」



「夢、かなったんですね」



「実家が近いので
結婚したら
子供をみながらやりたいな…って
それも夢なんですけどね」



「へーじゃあ、旦那さんと?」



「それが、旦那さんはまだいないんです
結婚の予定もないですし
30歳までに子供ほしいな…
なんて…理想ばっかり…」



「今、何歳なんですか?
あ、女性に年齢聞くのって失礼ですよね」



「26です」



「あ、オレと同じ…
オレより若いと思ってた
オレも26です」



「そーなんですね!

子供みながらできる仕事がしたくて…」



「いい夢ですね
オレ、子供の頃
両親共働きだったから…
母親が近くにいるっていいですね」



「私の母は専業主婦だったんです
でも私は、なんか独立もしたくて
それで自分のペースでできる
お店をやりたいな…って」



「夢、かなうといいですね…」



「ですね…

玉子焼き
甘い方が好きですか?」



「あ、任せます
玉子焼きって
なんか、相性わかりますよね」



「それって
試されてるみたいですね」



卵をかき混ぜながら女性は微笑んだ




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