恋ってなんだ
きらびやかな妓楼。

美しい妓生(芸妓)。

酔いしれる男たち。

耳から離れない素晴らしい音楽。

その中でも一際輝く妓生がいた。

オクランだ。

「オクラ〜ン!こっちに来て酒をついでくれ〜!」
「オクラン!今宵は共に過ごそう。」
「愛してるんだよ。オクラン。」

合間もなく飛び交うその名前がオクランは、嫌いで仕方がない。

その名前さえなければ自分は、自由に外を歩き、恋をして、走り回れるのに。

オクランは、愛想笑いを浮かべながら仕事をしている。

「いっそのこと、消えてしまえたらいいのに。」

それがオクランの口癖になってしまった。

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