君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)



 10月に入った。



 僕は、いつものようにいつもの道を通って学校に行く。


 そして学校に着いて教室の中に入り、いつものように花瓶の水を替えて、いつものように学校の授業が始まる。


 まずはいつものように担任の先生が教室に入ってくる。


 ……でも……。


 今日は一つだけ違うことがあるみたい。


「みんな静かに」


 担任の先生がざわつく生徒たちを静めさせる。


「今日からみんなと一緒に学ぶことになる工藤愛美(えみ)さんだ。工藤、みんなに挨拶を」


「工藤愛美です。よろしくお願いします」


 工藤愛美さん……。


 …………。


 ……あれ……?


 工藤愛美さん……。

 工藤……。

 愛美……。


 愛美……。


 ……‼


 愛美ちゃん‼







 午前中の授業が終わって昼休み。



 僕は、どうしようか迷った。


 愛美ちゃんに話しかけようかどうかを……。


 愛美ちゃん……。


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