君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)



「……本当にありがとう、優くん……」


 ……待って……加恋ちゃん……‼


 加恋ちゃん……‼


 ……っ⁉


 ……風……⁉


 ……風が……強い……‼


 僕と加恋ちゃんの間にとても強い風が吹いた。


 僕は、そのあまりにも強すぎる風のせいで目を開けることができない。


 僕は腕で目を覆いながら必死に目を開けようとした。


 そしてようやく少しだけ目を開けることができた。


 目を細めて前を見た、僕。


 そこに見えた景色は……。


 ものすごく強く吹く風。


 そして……。


 加恋ちゃんの姿……。


 でも……。


 加恋ちゃんは……。


 加恋ちゃんが……透き通って見えた……。


『優くん……』


 ……加恋……ちゃん……。


 ……行かないで……。


 行かないで……加恋ちゃん……‼


『ありがとう』


『ありがとう』なんて言わなくていいから……‼


 戻ってきて……加恋ちゃん……‼


『優くん……』


 嫌だ……‼

 嫌だよ……‼


 僕をおいて行かないで……‼


『楽しかったよ』


 僕も連れていって……‼


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