君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)



 8月の下旬。



 今日は、ついに加恋ちゃんを家に招待する約束の日。


 母さんと父さんは仕事で、妹は友達と遊びに行く約束をしている。

 なのでこの日に決まった。


 母さんも父さんも妹も、すでに家を出た。


 だから家にいるのは僕一人。


 僕は一人家にいながら緊張していた。


 僕は初めてだった。


 女の子を家に招待するのは。


 しかも母さんや父さんや妹がいないときに。


< 94 / 239 >

この作品をシェア

pagetop