忘れるための時間     始めるための時間     ~すれ違う想い~
新しい一歩 ~現代~

# 未来side

4時30分…ピピピッ ピピピッ
スマートフォンのアラームが鳴り重い頭を振りながらベッドから起き上がる。

昨夜の出来事が頭から離れずなかなか寝付けなかった。

それでも健の大切な試合だから!気合いを入れて台所に立つ。

バナナヨーグルトスムージー
味噌汁
卵焼き
焼き鮭

熱中症予防に気を付けた軽めのメニューにする。

「おはよう」

起こされなくてもちゃんと起きてきた健の表情は少し緊張してるのかな?心配になる。

「おはよう。今日も暑くなりそうじゃで。」
テレビの天気予報を見ながら言う。

「あぁ、ほんまじゃ。姉ちゃん気を付けてよ。倒れんでな。」

ごはんを頬張りながら優しく言う健の姿に成長を感じて涙が浮かんでしまう。

「まぁ、光さんが一緒なら安心か~ハハハ」

「なっ、えー?」
突然の発言にしどろもどろになってしまう。

「姉ちゃん、今まで野球やらしてくれてありがとう。」
健は箸をパチンと置いてあらたまってそんなことを言いだす。

「…健。頑張ってな!」

「ありがとう!ごちそうさま!」

きちんと手をあわせて挨拶をする健。
ホントに大きくなってくれて…

玄関の外まで見送りに行く。
自転車に乗り「行ってきます!」と笑顔で出かける健に「行ってらっしゃい。頑張ってね!」
と少し緊張しながら声をかけ小さく手を振る。

緊張しているのは健が最後の夏大だからなのか、この後永井くんと待ち合わせしているからなのか…
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