住みますか、住みませんか。

「……チヒロくん」

「なに、簡単に縛られてるの。たまちゃん」

「えっ……」

「無抵抗だったね。いくらでも拒絶できたのに」

「なに、してるんだろうって。よくわからなくて」


 とりあえず、眺めていて。


「気づいたら。こうなってた?」

「……なんで。こんなことするの」

「俺に自由を奪われてる君がかわいいから。かな」

「っ」

「もっとたくさん話していたいけど、遅くなると明日が辛いよね。送っていくよ」


 手首に巻かれたネクタイが、そっと、はずされる。


 そうだよね。

 チヒロくんこそ遅くまで働いて疲れているからゆっくりしたいよね。


「一人で帰るよ?」

「いや。こんな時間にさすがに一人では帰せないから」


 大切に、してくれている。

 それがたまらなく嬉しい。


 嬉しいのに、なんでかな。


"俺に自由を奪われてる君がかわいい"


 チヒロくんのこと、もっと知りたいと思う。

 どんなところも。


「提案なんだけど」


 テイアン?


「泊まってく?」

< 39 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop