虹の彼方へ~運命の赤い糸は1枚の写真~  《シリーズ本編》
奈々の家は…。

謎の多い彼女の家。

『そよかぜ弁当』から徒歩5分の立派なタワーマンション。

正面の自動ドアの先にはコンシェルジュ。
そして、そこには柳田の姿。

「奈々さん、お帰りなさいませ」

「柳田さん、ただいま~。何か変わった事は?」

「いえ。何も御座いませんよ」

「そっか。お疲れ様です」と会話する。

そう。
奈々は、蓮と同じマンションの住人。
ではなく、このマンションのオーナーなのだ。

その秘密を知るのは、亡くなった両親の親友だった柳田夫妻だけだ。
こうして気軽に柳田さんと会話するのは、コンシェルジュデスクに柳田さんがひとり時だけにしている。

そして奈々の部屋は、柳田夫妻以外は知らないこのマンションの42階だ。
そうこのマンションは、42階建てなのだ。
プールの上に、まだ部屋があると知る住人はいない。

カードキーを差し込むエレベーターには、階数を示すボタンがないのだ。

奈々の部屋には、E棟W棟のエレベーターの一基ずつのみ止まる特別な造りになっている。







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