虹の彼方へ~運命の赤い糸は1枚の写真~  《シリーズ本編》
奈々はさっと用意をして、財布とスマホをポケットに入れ家を出る。


マンションを出るときは、蓮の部屋に行くことを考え、E棟のエレベーターに乗った。

コンシェルジュのカウンターには、柳田の姿がなく、若い男女が今日の担当だった。


E棟から出てE棟に戻れば、声を掛けなくてすむ。こっちから出て良かった。
柳田がいない今、W棟から出てE棟に入ると不振に思われる。


奈々が最上階の住人と知るのは柳田のみ。


蓮の部屋に行くとバレるのも避けたい。

キャップを深く被り、軽く頭を下げコンシェルジュ前を通過した。

いつも利用するスーパーでハンバーグの材料と副菜、おつまみの材料を買い込む。

あれ?蓮はご飯派?パン派?
聞いた方が早いだろう。スマホで蓮に電話を掛ける。

「もしもし?」

「あっ蓮。蓮は、ハンバーグの時はご飯かパンのどっちがいい?」

「ご飯がいい」

「お米はある?」

「ある」

「他に何かいる物は?」

「ビールとワインしかないが大丈夫か?」

「うん。じゃあ、買い物終わったら向かうね」

「鍵で勝手に入ってくれ」

「了解~」

もう、長年のつき合っている恋人同士の様な自然なふたりのやりとりだ。






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