永遠、というものがあれば
久しぶりに入るカズくんの部屋。



昔はよく勉強を教えてもらったよね。



あの頃と変わらないままだけど、クローゼットからのぞくスーツが、カズくんが社会人なんだって思わせる。



「親父達、ごめんな。でも、今日お前が帰ってくるの、すごく楽しみにしてたんだぞ」



「うん」



急に空気が静かになった気がした。



「久しぶり。元気か?」



「うん」



「あいつに会ったよ。陽菜のこと、聞いた」



陽斗の話題にまた胸が苦しくなる。



「今忙しいみたいだけど、あいつ変わったようにがんばってる。陽菜、お前も信じてやれよ」



堪えてた涙が溢れ出す。



「なんで泣くんだよ」



「だってカズくんが優しいから」



「優しいのは前からだろ?なーんて」



今までのように笑ってくれるカズくんが嬉しくて、



涙が止まるには時間がかかったんだ。
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