【完】溺愛男子の愛し方

「……お前、まさか……」


「……」


私は、何も答えられなかった


ううん


何も答えなかった


それが答えだから


「いつだよ、それ!今もか?!」


急に、修が声を荒げた


私は、動揺せずに答えた


「……昔だよ。中学の時」


「……なんで……」


「中学の時、修はもう少し柔らかい顔をしていたから、モテててたでしょ?その幼なじみで、仲良くしてるからだって」


「……」


修は、言葉を失っていた


ここまでバレたら、全て話そう


「……最初は、向こうから話しかけてくれて、一緒にいるぐらいまで仲良くなった。友だちが少ない方だった私にとっては、嬉しくて仕方なかった。でも、その子は裏で私をいじめてたグループのリーダーだった。


あとで聞いたらね、対して可愛くもない嫌われ者のくせに、修に近づくなって。いつも私のこと、優しくて、私といると楽しいって言ってくれてた子がだよ?その日から、お世辞を言われるのがトラウマになった」


「……ごめん。俺のせいで……」


「修のことを攻めてるわけじゃないよ。ただ、そんなことがあったから、今も嫌われ者の私と付き合ってるなんてことが知られたら、私と同じようになるかもしれない。そう考えると、怖いの……」


最初から、そう言っておけばよかった


修に、気持ちをちゃんと伝えていたら……


そう思うと、自分が惨めで仕方なかった


「だから……大人になるまでは……」


「……大人になる、っていつ?」


「え……」
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