【完】溺愛男子の愛し方

屋上に着くと、先に祐がいた


「!美音……」


私は、ゆっくりと祐の前まで歩いた


……たとえ、兄妹でも、この気持ちだけは誰にも譲れないから……


祐の目の前まで来て、まっすぐ祐を見つめた


「……私、ずっと祐のこと避けてた。“義理の兄妹”だって知った時から、祐と距離を置いてきた。だって……」


私はもう一度、祐を見た


「“好き”って気持ちが、溢れて止まらなくて、どうしていいのかわからなかった」


私は、今までの思いを爆発させたかのように、言葉を続けた


「……ずっとずっと好きだった、小さい頃から。でも、祐のお母さんを死なせたのは私だから、そんなこと許されないって思ってた」


「それは違う!母さんは、飛び出した俺を助けるために……」


「でも、私が道路に飛び出さなければ、あんな事故は起きなかったの」


「美音……」


「……中学3年生の時、あの紙を見つけた」


「……」


「正直、辛かったよ。祐のこと、好きだってわかってたから……。もうこんな気持ち、なくすしかないって思った」


……でも……


「……でも、なくせなかった……」


私は止まらなくなって、涙を流しながら続けた


「祐が私のことを恋人のように扱い始めてから、どんどん好きって気持ちが止まらなくなった。でも……伝えちゃいけないって思った」


「美音……」


「……でもね、今日、隼人に言われちゃった。ちゃんと気持ちは伝えろって、もう逃げるなって。だから、私は……」


私は目を閉じて、心を落ち着かせた


そして、再び目を開けた


「……この気持ちを祐に伝えようと思った。後悔なんてしたくなかったから。……ごめんね。一方的に私の気持ちだけ押し付けて、避けて……。本当にごめんなさい」


……ギュッ


祐が、私を抱きしめた
< 149 / 159 >

この作品をシェア

pagetop