病気の時は


 その週末から、結婚の準備を始めて。
 両家に挨拶を済ませて、私たちはすぐに一緒に住み始めた。
 はるちゃんが、とにかく早く一緒にいたい、と譲らなかったからだ。

 新居は、私が住んでいたところからほど近い2DK。
 引っ越しが終わって2人きりになって、はるちゃんは私を抱きしめた。
「今度から、千波さんが熱出したら、いつでも抱っこしてあげられるよ」
 そう言って、優しく笑う。
「じゃあはるちゃんが熱出したら、またアイス食べさせてあげるね」
 私も微笑みで返す。
 はるちゃんの顔が赤くなった。
「それは……今やってくれてもいいなあ」
「それは駄目」
「えっ、なんで?」
「熱出したら、やってあげる」
「えー、俺、滅多に熱なんか出さないのに」
「じゃあ、私にして」
「えっ」
「私が熱出したら、はるちゃんがアイス食べさせて」
 はるちゃんは、私の顔を見て、しばし固まった。
「……どうかした?」
 はるちゃんの顔が、また赤くなる。
「ごめん。千波さんにアイス食べさせてるとこ想像したら……」
「……したら?」
「エロかった」
「なっ……!」
 私の顔も赤くなる。
 はるちゃんは、ニッと笑った。
「見たいなあ、エロい千波さん」
 逃げようとする私を、はるちゃんはガシッとつかまえている。
「ちょっとはるちゃん」
「見せてよ、エロい千波さん」
 腰と後頭部をつかまえられて、身動きできない。
「は、はるちゃん」
「千波さん……大好きだよ」
 はるちゃんが、私にキスをする。
 熱くて、深いキス。
 キスの合間に、私も伝えた。
「はるちゃん、私も……大好き」
 キスはどんどん深くなって。

 引っ越しの片付けを、次の日に持ち越したのは言うまでもない……。


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