【短編】出逢いがしらに恋をして 番外編 ジュリオ・サイド
ひよりと出会ったのは、1カ月ほど前。

エレベーターに、飛び乗ってきた彼女を見た瞬間、
今までに感じたことがないほど、心がざわついた……

あんなふうに、唐突に一目惚れするなんて、初めての経験だった。

ポニーテールの小柄な彼女が、軽く息を弾ませている姿は、
まるで初めて巣から飛び立った、幼気|《いたいけ》な小鳥のようで、思わず口許がほころんだ。

実はその日、ひよりに出くわすまで、気分は最悪に落ち込んでいた。

企画から携わってきたショッピング・モールのプロジェクトが軌道に乗ってきて、
さあ、これからと意気込んでいた矢先、突然、最前線から外される羽目になったんだから。

信頼されているからこそ、子会社のヘルプに回されたんだと思うようにはしていたが、
やりきれない気持ちはどうにもコントロールできなかった。

その鬱屈した気分を、一陣の爽やかな風のように吹き飛ばしてくれたのが、
少し頬を染めたひよりの、可愛らしい姿だった。
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