冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい

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満月が輝く午前一時。城の前には多くの騎士と、物資を積んだ馬車が隊列を組んでいた。

レウル様の指示後、アルソート国内では一気に緊張が高まり、国境に住む人々の移動が始まった。受け入れ体制を整えたエルネス大臣は城に残って王の代理として政治を取りまとめるようだ。

そして、アスランが率いる団員たちの前に立つのは、青いマントをなびかせる陛下である。腰に携えた剣がちらりとのぞく。

手綱を引く彼は、馬上を見上げる私に視線を向けた。


「本当についてくるつもりか?」


実は、後方支援の医療部隊に参加させてほしいと頼み込んだのである。

密偵騒ぎの翌日から、アスランの紹介で宮廷医師に付き応急処置のノウハウを教えてもらってきた。戦力では力になれなくても、私なりの戦い方ができるかもしれない。


もちろん、医師部隊には、婚約者としてではなく助手として扱ってほしいと伝えてあった。

今から向かうのは戦場だ。ただでさえ経験値が低い私は、足を引っ張らないように、医者に引き継ぐまでの手当てや物資の供給、煮沸の用意など出来る範囲で尽くすしかない。

今日のような日に役立つために、今まで知識や技能を養ってきた。ここで生かさずどうする。

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