【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
【贖罪】片割れの償い


「──水瀬は、俺の初恋だから」


全てを聞いたあと、私の頬には涙が伝っていた。


暗闇の中で、白坂くんが微笑んでいる。



「ガキの頃の俺、なかなか可愛いでしょ」


おどけてみせる白坂くんに、胸がキュッと締め付けられる。

零れても零れても、絶え間なく目の縁に涙が溜まっていった。



「だから……高校で水瀬に出会った時、奇跡なんじゃねえかって思ったくらい」


白坂くんの笑顔が滲んでぼやけていく。


「たぶんこれが最後のチャンスだって思った」



蘇る、白坂くんの声。


──“じゃあ俺がもらっていい?”

──“ならここで全部話そうか?”

──“俺はずっと見てんのに、全然振り向いてくんないよね”



ねぇ、白坂くん。

気づかなくてごめんね。

私、なにひとつわかっていなかったよね。

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