【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
【未来】甘くて黒い溺愛主義者
静けさを取り戻した境内に夜風が強く吹いた。
「……やべ。時間だ。水瀬、走れるか? 」
「え!?」
ふたりの姿が見えなくなった瞬間、白坂くんが私の手を奪った。
剣崎はもういないのに、また走るの!?
「強引で悪いけど、ちょっと付き合って」
「ちょ、白坂くん……!?」
その時もう既に走り出していた白坂くんに、私は混乱しながらついていく。
去り際に、百合さんが笑った気配がした。
「白坂くん、どこ行くの……!?」
「内緒」
「でも、傷の手当てした方が……!」
走りながら私は声をかけるけど、心配無用と白坂くんが笑う。
神社を飛び出して、私は言われるがまま、白坂くんと坂道を駆け上がった。