【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「俺、どうしても水瀬と見たかったんだよね」
「……っ、」
私が言ってほしい言葉をくれる。
胸の柔らかい場所が温かくなる。
笑顔の白坂くんが、だんだん滲んでしまう。
もったいない……。
花火も、白坂くんも、ちゃんと見たいのに涙が溢れてくる。
「……私、気づかなくてごめんね」
ずっと白坂くんは近くにいて、私を見てくれていたのに。
こんなにも近い場所で。
「謝んないでよ? でも、この先はよく覚えておいてくれる?」
白坂くんがコツンとおでこを合わせてくる。
ドキドキする……。
白坂くんの呼吸が、瞳が、唇が、全部が今確かにここにある。
「俺にとってお前は、大袈裟でもなんでもなく──唯一無二の存在だから」
白坂くんの声は、とても鮮明に聞こえた。