月姫の祈り

ーーそう、思った。
けれど、瞳から想い(なみだ)が溢れ出た瞬間。私の中に、暖かい何かが灯った。

それはいつも、私に満月の能力(ちから)が宿る時と同じ。「今なら何でも出来る!」と感じる、ものと同じ。

それを感じたら、私の中に優しい声が聞こえた。

(彼の命を、助けてあげましょうか?)

「?!っ……貴方は、誰?」

ハッとして辺りを見渡した。
でも、辺りには相変わらず何もない。私と(げつ)以外の姿は、見えない。

貴方は誰?という私の問いかけには、誰も答えない。
私は、質問を変えた。

(げつ)は、助かるの?っ……本当に、助けてくれるのッ?!」

(げつ)を助けてくれるなら、誰でも良かった。
例え、神でも悪魔でも、彼が助かるなら何でも良かった私は涙を拭いて叫んだ。

すると、謎の声は続ける。
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