エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「あのっ、私の手はこねていただかなくても……!」
「ああ、やわらかいから間違えた」
「うそ。わざとですよね……?」

 彼女の大きな瞳に睨まれるが、俺はふっと苦笑するだけでごまかした。

 わざとだよ、ごめん。和香菜の色んな顔が見たくて、つい悪戯したくなってしまうんだ。

 心の中では、そんな本音を打ち明けながら。

 ふたりで完成させた夕食は、ハンバーグの他にシーザーサラダ、ほうれん草のポタージュ、それにパン屋で買ってきたバケットを添え、朝とは反対に洋風のメニューだ。

「ん~。おいしい~。自分で作ったとは思えない!」

 ダイニングテーブルで向き合う和香菜が、ハンバーグを咀嚼しながらうっとり目を閉じて感激する。

「うん、うまい。俺の指導の賜物だな」
「まぁ、それはそうですが……もうちょっと普通に教えられないんですか? ほら、仕事の時みたいに」
「オンとオフの俺は違うと言っただろ」
「違いすぎですよ。……心臓がいくつあっても足りない」

 後半は小声で、独り言のように漏らした和香菜。

 俺のせいで心がかき乱されるという意味なのだろうが、それならお互い様だ。

 ひとつ屋根の下にきみとふたりでいて、俺がどれだけ我慢しているのかわかっているのだろうか。

 昨夜は熱があったからいろいろと自粛したが、今夜は――。

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