それでも君に触れたくて。
ハッピバースデートゥーユー
ハッピバースデートゥーユー
1人でボソボソと歌って適当にホールケーキに刺したロウソクの火を吹き消す。
この、重い気持ちと一緒に。
キッチンから包丁を持ってきて、少し大きめに切ってとると、上手くお皿にのせられずにケーキは不格好に横たわった。
毎年恒例の、この1人で過ごす誕生日。
私にはもう、ケーキなんてあってもなくてもどっちでもいい気がしていた。
所詮、このホールケーキだって、仕事で帰ってこれない親の罪悪感を少しでも少なくさせるものなのだから。